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公証事務

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金銭消費貸借

執行証書

Q. 金銭の貸借(正確には、「金銭消費貸借契約」)において、公正証書は古くから利用されているそうですが、なぜですか。

金銭の一定額の支払を内容とする公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは債務名義となり、執行力を有します(民事執行法22条5号)。このように、金銭消費貸借契約について公正証書を作成しておくと、借主が約束を守らなければ、直ちに強制執行をすることができるため、古くから利用されているのです。

要物契約

Q. 金銭消費貸借は要物契約だそうですが、どういう注意が必要ですか。

消費貸借契約の成立には、借主が現実に金銭を受け取ることが必要です。要物契約とは、このことを指します。ですから、金銭消費貸借では、金銭の授受がなされたことを明確にしておく必要があります。

弁済方法

Q. 弁済期限と利息の支払に関する条項で、留意する点は何ですか。

元金について、確定の期限に一括して支払うか、毎年又は毎月の分割払とするか、また、分割払の場合は、支払期間(回数)と一回の支払額のほかに、毎年又は毎月の何日に(例えば、毎月末日限り)支払うのかなど、弁済期を明確にしておきます。

利息についても、支払時期を明確にしておく必要があります。特に、元利均等分割払(元金と利息を合わせた一定額を月々支払う方法)をとる場合には、エクセルなどで、元利均等返済表(月々の支払額の元利の内訳と残元金の金額を明確にした一覧表)を作成し、証書に添付しておくと便利です。

期限の利益喪失事由

Q. 分割金の支払を怠ったとき、期限未到来の分について強制執行ができますか。

通常、契約条項中に、「元金の分割弁済を怠り、その額が2回分(あるいは、金〇〇万円)に達したとき、期限の利益を失う」というような期限の利益(期限まで弁済を猶予されるという利益)の当然喪失事由を定めますので、強制執行は可能です。

営業的金銭消費貸借の元本額の特則

Q. 営業的金銭消費貸借の元本額の特則とは、どのようなものですか。

改正利息制限法は上限利率の潜脱を防止するための特則で、たとえば、借主が業として貸付けを行う者から6万円を借り受け、 後に追加的に7万円を借り受けた場合、追加的な7万円に対する利息については、元本額を13万円(6万円+7万円)として計算し、年18%の上限利率が適用されることになります(利息制限法第5条第1号)。 また、借主が同一の貸主から個別に6万円と7万円を同時に借り受けた場合は、その各利息は13万円の上限利率である年18%が適用されることになります(利息制限法第5条2号)。

Q. 利息の利率を定めるときは、どういう注意が必要ですか。

金銭貸借においては、通常、利息支払の約定をしますが、それと同時に、多くの場合、遅延損害金の割合も定めます。利息の上限利率はどんな場合も一律に下記1のとおりです。また、遅延損害金の上限利率は下記2のとおりです。 営業的金銭消費貸借の場合の上限利率は20%です。いずれも、その超過部分につき無効となります。

記1

元本額 利息の上限利率
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

記2

利息の上限利率 遅延損害金の上限利率
営業的金銭消費貸借の場合 10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年20%
100万円以上 年20%
営業的金銭消費貸借以外の場合 10万円未満 年29.2%
10万円以上100万円未満 年26.28%
100万円以上 年21.9%

準消費貸借

Q. 準消費貸借とは、どういうものですか。

例えば、これまでの売掛代金を借金とするというように、金銭等の消費貸借によらないで、金銭その他の物を給付する義務を負っている者が、相手方との契約により、その物を消費貸借の目的とすることを約したときは、それだけで消費貸借は成立したものとみなされます。これを準消費貸借(民法588条)といいます。

Q. 旧債務は、どの程度特定すればよいのですか。

当事者間に他に誤認混同のおそれのある債務があるか否かに係わる相対的な問題ですが、例えば、売掛代金の場合、金額のほかに、何時から何時までのどういう商品の売掛代金かで特定します。

Q. 利息制限法の制限を超過する利息を消費貸借の目的とした場合、その準消費貸借は有効ですか。

利息制限法の制限を超過する利息は無効なものですので、これを消費貸借の目的としても有効なものとなるわけではなく、同法の制限内の利息についてのみ新債務が有効に成立することになります。

Q. 準消費貸借により新債務が成立すると、旧債務に付帯していた担保や同時履行の抗弁権はどうなるのですか。

当事者が新債務に移そうという意思を有していたかどうかによって、各事由ごとに結論を出すことになります。

旧債務に付帯していた抵当権や連帯保証などは、特別の事情がない限り、新債務についても存続します。通常、それが当事者の意思であると考えられるからです。

また、売買代金についての同時履行の抗弁権は、特別の事情がない限り、準消費貸借後の新債務に対しても行使することができます。

債務弁済契約

Q. 債務弁済契約とは、何ですか。

債務者が債権者に対して、契約や不法行為などによって生じた債務を確認し、その履行を約する契約です。

Q. その債務発生原因が契約である場合には、債務弁済契約は、原契約とは別の契約になるのですか。

原契約とは別の履行契約です。

Q. 債務弁済契約において、弁済すべき債務は、どの程度特定する必要があるのですか。

同一当事者間に他の債務との誤認混同のおそれがない程度に特定することを要します。通常は、債務の性質、発生時期、回数等によって特定しています。

Q. 債務弁済契約公正証書には、いくらの収入印紙を貼るのですか。

債務弁済契約の従前債務の発生原因である原契約が、印紙税法別表第1の番号1「課税物件」欄記載の契約(金銭消費貸借契約、不動産等の売買契約等です。)に該当する場合は、原則として目的価格に関係なく一律200円です。

なお、従前債務の発生原因が不法行為に基づく損害賠償債務や売掛金代金債務などである場合は、収入印紙の貼付は不要です。

総量規制

Q. 総量規制とは何ですか。

貸金業者は、一般的な規制として返済能力を超える貸付けは禁止されています(貸金業法第13条の2第1項)。 貸金業者が、個人に対し貸付けをする場合には、「返済能力を超える貸付け」に当たるか否かを判断する基準の一つとして、他の貸金業者の貸付額を合算した総借入残高が、 年収(年間の給与、年金等の定期的な収入の総額をいいます。)の3分の1を超える貸付けを原則として禁止する仕組みを、いわゆる総量規制といいます(貸金業法第13条の2第2項)。 総量規制の対象となる貸付けは、貸金業者の個人に対する貸付けであり、法人向けは含まれず、個人向けでも銀行等のローンや信販会社の販売信用は含まれません。

なお、定期的に低金利で返済期間が長期にわたり、債務額も多額な住宅貸付契約等は、そもそも総量規制の対象にはなりませんし、また、個人顧客の利益の保護に支障が生じることがない契約として個人事業用資金等は、総量規制の例外として借入れは可能です(貸金業法第13条の2第2項)。