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公証事務

3-2
保証意思宣明公正証書

Q1.民法の改正により、事業用融資の保証について、公証人が保証人になろうとする者の意思を確認する手続が新設されたそうですが、どのようなものですか。

これまで、保証人になろうとする者が、保証人になることの意味やそのリスク、具体的な主債務の内容等について十分に理解しないまま、情義に基づいて安易に保証契約を締結してしまい、その結果として生活の破綻に追い込まれるというようなことがあると指摘されてきました。

そこで、今回の民法改正により、事業用融資の保証契約については、その締結日の前1か月以内に、公証人があらかじめ保証人になろうとする者から直接その保証意思を確認して公正証書(保証意思宣明公正証書)を作成しなければ、効力を生じないとする規定が新設されたものです。

Q2.保証意思宣明公正証書に関する新しい民法の規定はいつから適用されるのですか。

令和2年4月1日以降に締結される事業用融資の保証契約については新しい民法の規定が適用されますので、あらかじめ保証意思宣明公正証書を作成することが必要となります。保証意思宣明公正証書は、同年3月1日から作成することができます。

Q3.保証意思宣明公正証書を作成することが必要となるのは、どのような場合ですか。

保証意思宣明公正証書を作成することが必要となる典型的な事例は、事業のために負担した貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)を主たる債務とする保証契約を締結する場合です。その他、主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約を締結する場合や、上記各契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約の場合にも、保証意思宣明公正証書の作成が必要となります。

なお、上記の保証契約を締結する場合であっても、会社等の法人が保証人になろうとする場合には、保証意思宣明公正証書を作成する必要はありません。また、保証人になろうとする者が、
①主たる債務者が法人である場合のその法人の理事・取締役等又は総株主の議決権の過半数を有する者であるとき、
②主たる債務者が個人である場合の共同事業者又は主たる債務者が行う事業に現に従事しているその配偶者などが保証人になろうとする者であるときにも、保証意思宣明公正証書を作成する必要はありませんので、ご注意ください。

Q4.公証人が保証意思宣明公正証書を作成する具体的な手続は、どのようなものですか。

(1) 保証人になろうとする者は、公証人に対し、保証意思宣明公正証書の作成を嘱託し、保証契約締結日の前1か月以内の日を作成日と決め、事前に保証契約に関する資料を送付するなどした上、作成日時に公証役場に赴くことになります。
必ず保証人になろうとする者本人が出頭しなければならず、代理人による嘱託はできませんので、ご注意ください。

(2) 保証人になろうとする者は、公証人に対し、主たる債務の内容など法定された事項(民法465条の6第2項1号)を述べる(口授する)ことによって、保証意思を宣明します。

(3) 公証人は、保証人になろうとする者が、主たる債務の具体的な内容を理解しているか、また、保証契約を締結した場合、主たる債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることなどを理解しているかどうかを確認するなどして、保証意思を確認します(Q5参照)。
保証意思を確認できない場合、公証人は、嘱託を拒否することになります。

(4) 公証人は、保証意思のあることが確認され、その他に嘱託を拒否すべき事由がない場合には、保証人になろうとする者が述べた内容を筆記します(事前に嘱託人から提出された資料に基づいて用意していた証書案を利用することもあります。)。公証人は、保証人になろうとする者に筆記した内容を読み聞かせ、又は閲覧させて、保証意思宣明公正証書の内容を確認させます。

(5) 最後に、保証人になろうとする者が、当該証書の内容が正確なことを承認して署名押印し、公証人が当該証書に署名押印するという手順で作成します。保証人になろうとする者に対しては、その請求により、公証人が原本に基づいて作成し、その旨の証明文言を付した保証意思宣明公正証書の写しである正本又は謄本が交付されます。

Q5.公証人が保証人になろうとする者に確認する保証意思の内容は、どのようなものですか。

(1) 公証人は、保証人になろうとする者が、保証しようとしている主たる債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば保証債務を負担することになり、主たる債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解していることなどを確認し、保証人になろうとする者が保証契約のリスクを十分に理解した上で、保証契約を締結しようとしているか否かを見極める必要があります。

(2) そのため、通常の保証契約(根保証契約でない保証契約)の場合は、公証人は、民法第465条の6第2項1号に規定される
 ①主たる債務の債権者と債務者、
 ②主たる債務の元本と従たるもの(利息、違約金、損害賠償など)についての定めの有無及びその内容、
 ③主たる債務者がその債務を履行しないときにはその債務の全額について履行する意思を有していることを、保証人になろうとする者に口授させ、保証人になろうとする者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認します。

また、根保証契約の場合は、公証人は、上記①のほかに、②主たる債務の範囲、極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容、③主たる債務者がその債務を履行しないときには極度額の限度において元本確定までに生じる主たる債務の元本及び従たる債務の全額について履行する意思を有していることを、保証人になろうとする者に口授させ、保証人になろうとする者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認します。

さらに、公証人は、保証人になろうとする者が、保証債務を履行できなかった場合の様々な不利益(保証債務を履行しなかった場合には、住宅用不動産や給与が差し押さえられることがあること等)を具体的に理解していることについても確認します。

なお、連帯保証契約の場合には、債権者が主たる債務者に対して催告したかどうか等にかかわらず、その全額について履行する意思を有していることについても確認します。

(3) 以上に加え、公証人は、保証人になろうとする者が、主たる債務者からその財産及び収支の状況等に関する情報提供を受けているかどうかも確認します(Q7参照)。

Q6.保証人になろうとする者は、公証人に述べなければならない事項を記載した書面を提出することを求められますか。

保証人になろうとする者は、保証意思宣明公正証書の作成前に、主たる債務に関する金銭消費貸借契約書や保証契約書等、公証人から指示された資料を提出する必要がありますが(Q4参照)、その一つとして、保証意思宣明書を提出していただくことになります。

保証意思宣明書は、保証人になろうとする者が公証人に対して述べなければならない事項(Q5参照)をまとめて一覧的に記載するもので、保証人になろうとする者がこれを作成することにより、公証人から確認を受ける事柄をあらかじめ整理し理解しておくことができます。また、公証人にとっても、保証人になろうとする者が内容を理解しているかどうかを明確にするための資料となります。

ただし、保証人になろうとする者は、公証役場で、公証人に対し、必要な事項をあくまでも口頭で述べなければならないので(Q5参照)保証意思宣明書を提出しても公証人に対して口頭で述べる手続が省略されることはありません。この点ご留意ください。

なお、保証意思宣明書の書式(フォーム)を本ホームページに掲載しておりますので、ご活用ください。

Q7.事業のために負担する債務について個人に保証を委託する場合には、主たる債務者が保証人になろうとする者に対して財産状況等の情報を提供する義務を負うことになったそうですが、どのようなものですか。

今回の民法改正では、主たる債務者に対し、保証契約締結時における主たる債務者の財産状況等の情報を保証人になろうとする者に提供する義務を課し、保証人となろうとする者が、その主たる債務を保証することのリスクを把握させた上で、保証人になるかどうかを慎重かつ適切に決定させることにしました。
具体的には、主たる債務者は、保証人になろうとする者に対し、
 ①財産及び収支の状況、
 ②主たる債務以外の債務の有無、その額と履行状況、
 ③不動産等、主たる債務の担保としてほかに提供するものがあるときはその旨及びその内容に関する情報を提供することが必要になりました。
そして、主たる債務者がこの情報を正しく提供しなかったために保証人になろうとする者が事実を誤認し、債権者もそれを知り、又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができることになりました。

Q8.保証意思宣明公正証書の作成手数料はいくらですか。

保証意思宣明公正証書の作成手数料は、保証債務の金額には関係なく、保証契約ごとに,原則として1件1万1000円となります。したがって、2つの保証契約について保証意思宣明公正証書を作成する場合には、手数料は2万2000円となります。

【保証意思宣明書】の書式は下記よりダウンロードできます。

【通常保証用】

【根保証用】

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