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公証事務

1 一般社団法人の目的として許容されないものは、次のものです。

  1. 営利の目的(社員に利益を分配するもの)
  2. 違法な目的又は無効な目的
  3. 目的の記載が不明確なもの。

それら以外のものは、目的として許容されます。

2 営利の目的(社員に利益を分配するもの)は、一般法人法11条2項が禁止する「社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定め」に該当するので、許容されません。これに対し、公益目的(不特定かつ多数の者の利益に資することを目的とするもの)、共益目的(社員に共通する利益に資することを目的とするもの)及び収益目的(収益を上げる事業を営むことを目的とするもの)は、許容されます。収益目的かつ営利目的のもの(収益事業を営み、そこから得られた剰余金を社員に分配するもの)は、許容されないことになります。このような形態の法人を設立するのであれば、会社形態のものが相当でしょう。

3 違法な目的として実務上しばしば目にするものの一つに、各種規制に反する目的の記載があります。例えば、報酬を得る目的で訴訟事件その他一般の法律事件に関し法律事務を取り扱うことを業とすることは、原則として弁護士又は弁護士法人に限定されます(弁護士法72条)。また、学校教育法上、学校を設置することができる者は、国及び地方公共団体のほかは、学校法人のみです(同法2条1項)。これらの規制に違反する一般社団法人の目的の記載は、違法な記載となり、その定款を認証することはできません。迷ったときは、まず、規制担当官庁にご相談ください。

4 目的は、登記事項の一つです(一般法人法301条2項1号)。目的の記載については登記官の審査を受けます。目的の記載が不明確なものは、登記することができません。ここから、定款における目的の記載には明確性が要求されることになります。不明確な記載とは、例えば、意味がよく分からない記載、複数の意味のある表現であってそのいずれかであるかが特定できない記載、一部のスラングやジャーゴンのように未だ日本語として定着していない表現を含む記載などです。
実務上しばしば問題となるのは、ローマ字を用いた略語とカタカナ表記のものです。例えば、目的の一つに、「CDの製造方法の改良に関する研究」と記載されている場合、CDという略語には、現金自動支払機(cash dispenser)の意味とコンパクトディスクの意味がありますが、この場合、そのいずれを意味するのかが判然とせず、この記載のままでは、明確性に疑義が残ります。後者の趣旨であれば、「CD(コンパクトディスク)の製造方法の改良に関する研究」などと記載して意味を特定することが求められるでしょう。また、カタカナで表記されたものには、「マーケティング」のように日本語として定着したものもありますが、中には、未だ日本語として定着しているとはいい難いものもあります。後者の場合は、そのカタカナ表記の後に、適切な日本語訳をかっこ書で補うなどするのが相当でしょう。この問題は、すぐれて定款記載実務に関わる問題です。迷ったときは、公証人にご相談ください。

5 会社が設立時社員となって一般社団法人を設立する場合は、設立する一般社団法人の目的が設立時社員である会社の目的を解釈して合理的範囲内にあることが求められます(→社Q12の4項)。この場合の一般社団法人の目的については、公証人にご相談ください。