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公証事務

1 附則に記載する事項
実務上、一般社団法人の定款には附則を設け、次のような事項を記載しています。

  1. 最初の事業年度
  2. 設立時の役員
  3. 設立時社員の氏名又は名称及び住所
  4. 法令の準拠

2 最初の事業年度
設立後の最初の事業年度は、一般社団法人成立の日、すなわち、設立登記日から起算するため、1年未満の期間になることが多くなることから、実務上、事業年度に関する定めの特則として附則に記載しています。最初の事業年度を定める場合も、その期間は1年を超えることはできません(→社Q11)。例えば、定款の本文において、事業年度について、「当法人の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。」と定めた場合において、法人成立が平成29年5月となるケースでは、附則に「当法人の最初の事業年度は、当法人成立の日から平成30年3月31日までとする。」などと記載します。この場合において、法人成立が平成29年2月となるケースで、附則に「当法人の最初の事業年度は、当法人成立の日から平成30年3月31日までとする。」などと記載すると、最初の事業年度が1年を超えることになるので、「当法人の最初の事業年度は、当法人成立の日から平成29年3月31日までとする。」と記載することになります。

3 設立時の役員等
ア 一般社団法人の設立に際して理事となる者、監事となる者及び会計監査人となる者を、それぞれ設立時理事、設立時監事及び設立時会計監査人といい(一般法人法15条)、以上を総称して、「設立時役員等」といいます(同法16条2項)。

イ 設立時理事は、設立に際しての必置の機関です。その員数は、設立後の一般社団法人が理事会を設置する場合は3名以上であり(同法16条1項)、理事会を設置しない場合は1人又は2人以上です。例えば、定款の本文中で理事の員数を3名以上と定めた場合は、設立時理事も3名以上を選任することになります。設立時理事の選任は、原則として、原始定款で定めておき、定款で定めなかったときは、公証人の認証後遅滞なく、設立時社員の議決権の過半数をもって選任することになります(同法15条1項、17条1項)。実務上は、原始定款で定める例が大半を占めています。

ウ 原始定款で監事を置く旨の定めを置いた場合、設立時監事は、設立に際しての必置の機関であり、原則として、定款で定め、定款で定めなかったときは、公証人の認証後遅滞なく、設立時社員の議決権の過半数をもって選任しなければなりません(同法15条1項、17条1項)。その員数は1人又は2人以上です。
定款記載例Ⅰでは、この一般社団法人が任意に監事を置いているので(16条)、設立時監事に関する定めを置いています(26条)。仮に、この一般社団法人が監事を置かなかった場合は、設立時監事を置く必要はなく、設立時監事について定款の定めを置くこともありません。
なお、理事会設置一般社団法人においては、設立時監事は設立に際しての必置の機関です。

エ 設立時役員等の資格ないし欠格事由については、設立後の理事、監事又は会計監査人のそれと同じです(同法16条2項)。

オ 定款で設立時代表理事を定めることができます。設立後の一般社団法人が理事会を設置しない場合は、各設立時理事に代表権が帰属しますが、任意に代表理事を定めることも許容されます。設立時代表理事を選定するときは、設立時理事がその中から選定する方法(同法21条1項)とともに、設立者がこれを選定し、原始定款に記載する方法も認められており、実務上は、後者が多数です。
なお、理事会設置一般社団法人においては、設立時代表理事は設立に際しての必置の機関です。
定款記載例Ⅰの一般社団法人は、理事会を設置しない一般社団法人ですが、代表理事に関する定めを任意に置いていることから(第17条第2項、第19条第2項)、附則において、設立時代表理事を選定しています(第26条)。仮に、この一般社団法人が、設立時理事として鈴木太郎及び山田花子の2名を選任し、設立時代表理事として鈴木太郎を選定し、設立時監事として田中一男を選任した場合、定款記載例Ⅰ第26条には、具体的に次のように記載することになります。設立時代表理事の鈴木太郎は設立時理事の一員であるので、その氏名は、設立時理事の欄及び設立時代表理事の欄の双方に記載します。

  第26条 当法人の設立時理事、設立時代表理事及び設立時監事は、次のとおりとする。
       設立時理事     鈴木太郎、山田花子
       設立時代表理事   鈴木太郎
       設立時監事     田中一男

カ 設立時役員等及び設立時代表理事は、一般社団法人の成立と同時に、自動的に理事、監事、会計監査人又は代表理事になります。

4 設立時社員の氏名又は名称及び住所
設立時社員の氏名又は名称及び住所は、定款の絶対的記載事項です(同法11条4号)。
設立時社員の員数は、2名以上である必要があります(同法10条1項参照)。
設立時社員は、自然人に限らず法人もなることができます(同法11条1項4号参照)。会社については、当該一般社団法人の設立時社員となってこれを設立することが当該会社の目的を解釈し合理的範囲内にあれば、設立時社員になることができます(社Q6の5項)。未成年者については、原則として、親権者等の法定代理人の同意が必要です(民法5条)。
設立時社員の氏名及び住所は正確に記載することが求められます。定款には、個人の場合は印鑑証明書、会社の場合は登記事項証明書(法人登記簿謄本)に記載されているとおりに記載してください。