金銭消費貸借等

(目次)
  (執行証書)
    Q  金銭の貸借(正確には、「金銭消費貸借契約」という。)において、公正証書は古くから利用されているそうですが、なぜですか
  (要物契約)
    Q  金銭消費貸借は要物契約だそうですが、どういう注意が必要ですか
  (弁済方法)
    Q  弁済期限と利息の支払に関する条項で、留意する点は何ですか
  (期限の利益喪失事由)
    Q  分割金の支払を怠ったとき、期限未到来の分について強制執行ができますか
  (利息の利率)
    Q  利息の利率を定めるときは、どういう注意が必要ですか
    Q  グレーゾーン金利とは、何ですか
    Q  公証人は、公正証書作成の場合にグレーゾーン金利をどう取り扱っているのですか
  (準消費貸借)
    Q  準消費貸借とは、どういうものですか
    Q  旧債務は、どの程度特定すればよいのですか
    Q  利息制限法の制限を超過する利息を消費貸借の目的とした場合、その準消費貸借は有効ですか
    Q  準消費貸借により新債務が成立すると、旧債務に付着していた担保や同時履行の抗弁権はどうなるのですか
  (債務弁済契約)
    Q  債務弁済契約とは、何ですか
    Q  その債務発生原因が契約である場合には、債務弁済契約は、原契約とは別の契約になるのですか
    Q  債務弁済契約において、弁済すべき債務は、どの程度特定する必要があるのですか
    Q  債務弁済契約公正証書には、いくらの収入印紙を貼るのですか


(執行証書)

 金銭の貸借(正確には、「金銭消費貸借契約」という。)において、公正証書は古くから利用されているそうですが、なぜですか。

 金銭の一定額の支払を内容とする公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは債務名義となり、執行力を有します(民事執行法22条5号)。ですから、金銭消費貸借契約について公正証書を作成しておくと、借主が約束を守らなければ、直ちに強制執行をすることができます。このように金銭貸借について公証人が作成した公正証書は、執行証書となり、かつ、容易に作成することができるため、古くから利用されているのです。


(要物契約)

 金銭消費貸借は要物契約だそうですが、どういう注意が必要ですか。

 消費貸借契約の成立には、借主が目的物を受け取ることを必要とします。要物契約とは、このことを指します。ですから、金銭消費貸借では、金銭の授受がなされたことを明確にしておく必要があります。


(弁済方法)

 弁済期限と利息の支払に関する条項で、留意する点は何ですか。

 元金について、確定の期限に一括して支払うか、毎年又は毎月の分割払とするか、また、分割払の場合は、支払期間(回数)と一回の支払額のほかに、毎年又は毎月の何日に(例えば、毎月末日限り)支払うのかなど、弁済期を明確にしておきます。
 利息についても、支払時期を明確にしておく必要があります。特に、元利均等分割払(元金と利息を合わせた一定額を月々支払う方法)をとる場合には、元利均等返済表(月々の支払額の元利の内訳と残元金の金額を明確にした一覧表)を作成し、証書に添付しておくと便利です。


(期限の利益喪失事由)

 分割金の支払を怠ったとき、期限未到来の分について強制執行ができますか。

 通常、契約条項中に、「元金の分割弁済を怠り、その額が2回分(あるいは、金〇〇万円)に達したとき、期限の利益を失う」というような期限の利益(期限まで弁済を猶予されるという利益)の当然喪失事由を定めますので、強制執行は可能です。


(利息の利率)

 利息の利率を定めるときは、どういう注意が必要ですか。

 金銭貸借においては、通常、利息支払の約定をしますが、その利率とともに、多くの場合遅延損害金の割合も定めます。
 ところで、利息制限法は、利息と遅延損害金の最高限度を次のとおりとし、その超過部分につき無効とする旨定めています(同法1条1項、4条1項)。
 (元本額)       (利息の最高限度)  (遅延損害金の最高限度)
 10万円未満          年20%       年29.2 %
 10万円以上100万円未満   年18%       年26.28%
 100万円以上         年15%       年21.9 %
 なお、貸主が金融業者、借主が消費者の場合でも、消費者契約法9条2号の適用はなく、利息制限法が適用されます(消費者契約法11条2項)。

 グレーゾーン金利とは、何ですか。

 利息については、利息制限法のほかに、次の2つの法律による規制があります。
@  出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)5条1項は、一般には、年109.5%(平年の場合。以下同じ。)を超える高金利(遅延損害金を含む。以下同じ。)を処罰する旨を、同条2項は、貸金業者については、年29.2%を超える高金利を処罰する旨を、規定しています。
A  貸金業規制法(貸金業の規制等に関する法律)43条は、貸金業者(登録業者に限る。)につき、利息制限法の制限は超えるが、出資法による処罰はされない範囲の利息を受領した場合、受取書の交付など一定の条件の下に、有効な利息の支払とみなす旨定めています。
 グレーゾーン金利とは、利息制限法と出資法との間の利息、すなわち出資法により処罰されず、一定の条件の下に有効な利息の支払となるが、利息制限法により無効とされる利息のことをいいます。

 公証人は、公正証書作成の場合にグレーゾーン金利をどう取り扱っているのですか。

 公証人法26条は、無効な法律行為について公正証書を作成することを禁止しています。利息制限法に反する契約は無効です。したがって、公証人は、嘱託人にそのことを説明し、嘱託人の了解を得て、利息制限法の範囲内の利息に引き直した上、公正証書を作成しています。


(準消費貸借)

 準消費貸借とは、どういうものですか。

 例えば、売掛代金を支払わないで借金とするというように、消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負っている者が、相手方との契約により、その物を消費貸借の目的とすることを約したときは、それだけで消費貸借は成立したものとみなされます。これを準消費貸借(民法588条)といいます。

 旧債務は、どの程度特定すればよいのですか。

 当事者間に他に誤認混同のおそれのある債務があるか否かに係わる相対的な問題ですが、例えば、売掛代金の場合、金額のほかに、何時から何時までのどういう商品の売掛代金かで特定します。

 利息制限法の制限を超過する利息を消費貸借の目的とした場合、その準消費貸借は有効ですか。

 利息制限法の制限を超過する利息は無効なものですので、これを消費貸借の目的としても有効なものとなるわけではなく、同法の制限内の利息についてのみ新債務が有効に成立することになります。

 準消費貸借により新債務が成立すると、旧債務に付着していた担保や同時履行の抗弁権はどうなるのですか。

 当事者が新債務に移そうという意思を有していたかどうかによって、各事由ごとに結論を出すことになります。
 旧債務に付着していた抵当権や連帯保証などは、特別の事情がない限り、新債務についても存続します。通常、それが当事者の意思であると考えられるからです。
 また、売買代金に付着している同時履行の抗弁権は、特別の事情がない限り、準消費貸借後の新債務に対しても行使することができます。


(債務弁済契約)

 債務弁済契約とは、何ですか。

 債務者が債権者に対して、契約や不法行為などによって生じた債務を確認し、その履行を約する契約です。

 その債務発生原因が契約である場合には、債務弁済契約は、原契約とは別の契約になるのですか。

 原契約とは別の履行契約です。

 債務弁済契約において、弁済すべき債務は、どの程度特定する必要があるのですか。

 同一当事者間に他の債務との誤認混同のおそれがない程度に特定することを要します。通常は、債務の性質、発生時期、回数等によって特定しています。

 債務弁済契約公正証書には、いくらの収入印紙を貼るのですか。

 債務弁済契約の従前債務の発生原因である原契約が、印紙税法別表第1の番号1「課税物件」欄記載の契約(金銭消費貸借契約、不動産等の売買契約等です。)に該当する場合は、原則として目的価格に関係なく一律200円です。
 なお、従前債務の発生原因が不法行為に基づく損害賠償債務や売掛金代金債務などである場合は、収入印紙の貼付は不要です。



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