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お知らせ

与論島における広報活動

与論島における広報活動

                                                              令和元年11月26日 
九州公証人会 広報委員 
福岡公証役場 
公証人 古賀正二 

 九州公証人会では、平成31年(令和元年)度も、前年度に引き続き、鹿児島公証人会と連携し、日本公証人連合会の支援等を得て、鹿児島県内の離島における広報活動を支援推進することとし、その一環として、令和元年11月12日及び13日、九州公証人会福岡公証役場公証人が鹿児島県大島郡内の与論島に赴き、無料の遺言等公証相談会を開催したので、以下その概要を報告する。

 

1.与論島の現況

 ⑴ 位置と概要
   与論島は、鹿児島市内から南に約590キロメートルに位置する鹿児島県最南端の島で、島の南方約23キロメートルには沖縄が位置し、距離的には鹿児島本土よりも沖縄県にかなり近い。与論島の面積は約20キロ平方メートル、人口は令和元年7月時点で約5300人である。島の主な産業は、サトウキビ栽培等の農業、畜産及び観光である。

 ⑵ 交通アクセス
   与論島と島外との往来手段は、飛行機とフェリーである。飛行機は、与論空港と鹿児島、奄美、那覇の各空港との間で1日往復各1便運航(ちなみに、所要時間は、与論・鹿児島間が約1時間30分、与論・奄美間と与論・那覇間が各約40分である。)しており、福岡空港からの直行便はなく、鹿児島空港あるいは奄美空港で乗り継ぐこととなるが、接続も悪く、乗り継ぎのための待ち時間も長い。


⑶ 最寄りの公証役場とのアクセス
  鹿児島県内の離島のうち、公証人役場が置かれているのは、奄美大島の名瀬公証役場のみである。与論空港と奄美空港間の飛行時間は約40分間を要し、更に奄美空港から島の中心部にある名瀬公証人役場まではバスを利用して片道約1時間を要し、与論島の住民が名瀬公証人役場に出向くには時間的、経済的に見ても容易ではなく、気軽に公証役場を利用できる環境にはないといえる。

 

 2. 与論島における広報活動
⑴ 広報活動実施の経緯
  鹿児島県内の離島における広報活動については、離島や司法過疎地での公証サービスを充実させるべく、昨年度から、日公連、名瀬公証役場を抱える鹿児島公証人会及びブロック会である九州公証人会が連携し、鹿児島県内の離島での広報活動を支援推進することとなり、本年度は、沖永良部島、与論島及び喜界島の3島で、遺言等に関する無料の相談会を実施することとした。そこで、平成31年3月に、昨年度と同様、九州公証人会会長及び鹿児島公証人会会長の連名で、鹿児島地方法務局長、鹿児島司法書士会会長及び鹿児島行政書士会会長に対し、上記広報活動についての協力依頼の文書を発出するとともに、名瀬公証役場に事務局を設置して、同役場公証人に各地元自治体との連絡調整をとっていただくことにした。

⑵ 広報活動の準備状況
  与論島での広報活動については、令和元年9月、名瀬公証役場公証人から与論町長宛に、同島内での同年11月12日午後2時から午後4時まで、翌13日午前9時から午前11時まで開催される法務局による派遣登記所に併せて、福岡公証役場公証人による「公証人による遺言等相談会(無料)」の開催について、派遣登記所と同室を相談会場として確保願うとともに、町広報誌への無料相談会開催記事の掲載と、開催前日・当日の町内広報無線による広報を依頼する旨の文書を発出して便宜供与の要請を行った。

  そして、11月12日当日、福岡公証役場公証人は、福岡から新幹線を利用して鹿児島に入り、高速バス(所要時間約40分)を乗り継いで鹿児島空港から空路与論島に入った。なお、与論島からの帰路も同様のルートであった。

⑶ 広報活動の状況
  福岡公証役場公証人は、11月12日当日午後2時からの相談会の開催に合わせて、会場となっていた与論中央公民館に赴き、法務局職員とともに会場の設営を行った。
相談者は、12日及び13日とも各1名で、遺言や相続に関する相談であった。相談者には、今後公正証書の作成が必要なときは、名瀬公証役場等の最寄りの公証人と連絡を取って話を進めるように教示し、事前に預かっていた名瀬公証役場の所在地、電話番号等が記載されたパンフレット等を交付した。

今回の相談者は、いずれも町の広報無線(防災無線)で本相談会の開催を知って相談に来たとのことであった。人口が約5300人と少なく、相談者が来ないのではないかとの心配もあったが、まずまずであった。

 

 3. 課題等
昨年度に引き続いて福岡公証役場から公証人1名を派遣して鹿児島県内の離島における広報活動を実施したが、相応の成果はあったものと思われた。九州公証人会の管内には、鹿児島県内の離島を含め最寄りの公証役場から遠距離にある離島が多く、しかも比較的人口の多い離島も少なくない。これらの離島においては、公証業務についての住民の潜在的な需要や期待はあると思われ、今後も離島や過疎地における広報活動を積極的に行っていくことが必要と思われる。



                    

以 上