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公証事務

Q. 売買契約、遺言等の公正証書作成手数料の具体的な事例の説明

 

  1. 売買契約
    土地の売買契約を例にとると、売主は、土地の所有権を買主に移転する義務があり、買主は、代金を売主に支払う義務があります。したがって、土地の価格と売買代金の合計額が目的価額となりますが、手数料令は、当事者の一方が金銭のみを給付の目的とするときは、その額の2倍を目的価額とすると定めています(手数料令11条1号)。売買代金が5000万円であれば、その2倍の1億円が目的価額となり、3①の計算方式に従い、4万3000円が手数料になります。
  2. 賃貸借契約 建物の賃貸借契約で、賃料が月額20万円、契約期間が3年間とすると、3年分の賃料の2倍(手数料令11条1号)である1440万円が目的価額になりますから、手数料は、2万3000円になります。賃料のように、定期的に支払が行われる定期給付契約の目的価額について、手数料令は、期間の価額の総額を目的価額としつつ、最高でも「10年間の給付の価額の総額を超えることができない。」と規定しています(手数料令13条)。したがって、土地の賃貸借契約のように、期間が30年になる場合でも、10年分の賃料の2倍が目的価額になります。
  3. 金銭消費貸借・債務弁済契約
    民法587条の金銭消費貸借契約は、貸主が金銭を貸し渡し、借主が借入金の返済を約束することによって成立する契約ですから、借入金額が目的価額になります。 従たる契約である利息は、目的価額に含まれません(手数料令15条)。 債務弁済契約は、既に存在している金銭債務の支払方法を定める契約で、金銭消費貸借と同じく、支払金額のみが目的価額になります。
  4. 担保権設定契約
    抵当権などの担保権設定を目的とする契約の目的価額は、担保の目的の価額又は担保される債権の額のいずれか少ない方になります。ただし、抵当権などの担保権設定を目的とする契約を、担保される債権に係る金銭消費貸借契約とともに公正証書にする場合は、その金銭消費貸借契約の債権額に、その債権額又は担保となる物件等の価額のいずれか少ない額の2分の1を加えたものが目的価額となります(手数料令23条2項)。連帯保証契約などは、担保される債権に係る契約との関係では、従属的法律行為ですから、金銭消費貸借とともに公正証書が作成される場合には、金銭消費貸借の債権額のみが目的価額となります(手数料令23条1項)。抵当権の設定も、従属的法律行為ですが、手数料令23条2項は、特に例外的規定を設けたものです。なお、根抵当権設定は、主たる債権に従属しない法律行為ですから、金銭消費貸借などとは別個の法律行為として、手数料の対象となります。
  5. 離婚給付契約
    協議離婚の届出に際して約定した慰謝料・財産分与の取り決め又は未成年の子の養育料の支払を公正証書にする場合は、慰謝料・財産分与と養育料とを別個の法律行為として扱い、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。ただし、養育料の支払は、賃料と同じく定期給付に当たるため、支払期間が長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的価額になります。
  6. 遺言
    遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を目的価額として計算します。遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。数人に対する贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。したがって、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出し、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。
    例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は、3①の方式により、4万3000円です(なお、下記のように遺言加算があります。)が、妻に6000万円、長男に4000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は4万3000円、長男の手数料は2万9000円となり、その合計額は7万2000円となります。ただし、手数料令19条は、遺言加算という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、1万1000円を加算すると規定しているので、7万2000円に1万1000円を加算した8万3000円が手数料となります。次に祭祀の主宰者の指定は、相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ、目的価格が算定できないので、その手数料は1万1000円です。 遺言者が病気等で公証役場に出向くことができない場合には、公証人が出張して遺言公正証書を作成しますが、この場合の手数料は、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となり、これに、遺言加算手数料を加えます。この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が必要になります。作成された遺言公正証書の原本は、公証人が保管しますが、保管のための手数料は不要です。