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公証制度・公証人

会長挨拶

良質な公証サービスの提供に向けて

山本 修三
日本公証人連合会
会長 山本 修三

 平成29年度の日本公証人連合会(日公連)会長を務めることとなりましたので、ごあいさつ申し上げます。

 公証人は、明治19年の公証制度の発足以来、国の公務である公証事務を担ってまいりました。公証人の使命は、法務大臣から任命された法律の専門家として、中立・公正な立場において、国民の権利保護と私的紛争の予防を実現することにあります。裁判所が事後救済という役割を担っているのに対し、公証人は、事前に紛争を予防するという予防司法の役割を担っております。

 特に、超高齢社会といわれる我が国において、公証人は、遺言、任意後見契約あるいは民事信託契約などの公正証書の作成を通じ、安全・安心な国民生活の維持・発展に寄与しています。公正証書遺言は遺産争いを防ぐために有効であるということが徐々に知れ渡ってきたのに連れて、作成件数が平成元年当時の約4万件から年々増加し、平成26年には10万件を突破し、その後は毎年10万件を超えています。任意後見契約も、平成17年当時は4800件でしたが、平成27年には1万件を突破しました。さらに、最近は、このような遺言や任意後見の制度を補完し、あるいはこれに一部代替する仕組みとして、遺言代用信託、任意後見支援型信託、事業承継信託などの民事信託も注目されてきています。

 また、離婚に伴う養育費等の支払、金銭貸借による貸金の返済、賃貸借による家賃の支払などについて、将来の争いを防ぐ目的や、これらの支払を裁判を経なくとも確実に受けられるようにするために公正証書が利用されています。

 そのほか、公証人は、事業用定期借地権設定契約などの事業活動を支える公正証書の作成、定款の認証、外国で使用するための文書の成立を証明する認証などを通じ、我が国における企業活動を側面からも支えています。

 このうち、株式会社等法人の設立に当たって、その法人の根本法規とも言うべき定款を認証する業務ですが、これは自然人同様、権利義務の主体となる法人を生み出す際の、いわば医師ないし助産師の役割を担うものであり、経済社会活動の基盤となる法的インフラを支え、我が国の経済を強固にするものです。現に我が国では、裁判で法人の存否が争いになった事案はほとんどないのであり、法人自体が存在しないとしていったんなされた経済社会活動が根底から覆るようなことはなく、これは、経済基盤の支えになっています。

 ところで、今年5月には、民法(債権法)の改正により、公証人には、新たに、保証意思宣明公正証書の作成権限が付与されました。これは、保証人が、保証の意味を十分に理解しないまま安易に保証契約を締結して過酷な状況におかれる事態の発生を防ぐことを目的とするものです。今後3年以内にこの改正法が施行されますと、事業のための貸金等債務についてされた個人の保証は、事前に、保証人となろうとする者が保証意思宣明公正証書により、保証債務を履行する意思を明らかにしなければ無効となります。日公連としては、公証人が担うこととなる重い役割を肝に銘じ、法務省の指導も受けつつ、公証人全員にこの改正法の趣旨の周知徹底を図り、万全の準備をして、改正法の趣旨に沿った運用を実施していく所存です。

 日公連は、日本全国、あまねく良質な公証サービスを国民の皆様に提供できるよう電話による無料の公証相談会を実施し、さらには、離島などの司法過疎地域にも、公証人を派遣して無料の公証相談会を実施しています。今後も、各地の要望等に応じて公証相談会を実施するなどし、国民の皆様に良質な公証サービスを提供してまいります。

 日公連では、このたび、ホームページを模様替えし、国民の皆様に当会の活動及び公証業務の内容をご理解いただく一助といたしました。ホームページは、今後もタイムリーに、より見やすく、より時宜に即応したものに変更してまいりますので、皆様におかれましても、このホームページをご活用いただき、自らの安全・安心な生活を確保するため、公証サービスを大いにご利用くださいますようお願い申し上げます。