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公証制度・公証人

会長あいさつ

   

 

 

 令和7年度の日本公証人連合会(日公連)の会長に就任した萩原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 

 公証人は、国民の社会生活にかかわる私人間の契約や遺言などの私的法律関係の安定と紛争の防止を図るため、公正証書の作成、設立する法人の定款や私署証書の認証、確定日付の付与その他の方法によって、法律関係や事実を明確化し、私署証書や定款の証拠力を確保するほか、公正証書で支払や給付を約束された債権等について執行力を付与するなどの公証事務を行っております。

 このような公証事務の性質上、公証人は、高度な法的知識と豊富な法律実務経験を有していることが必要であり、かつ、一方当事者に偏ることなく中立・公正に執務を行わなければなりません。そのため、裁判官、検察官、弁護士など法曹有資格者のほか、多年法務事務に携わり法曹有資格者に準ずる学識経験を有する者の中から法務大臣の任命を受けた者が、公証人として公証事務を行っております。現在、全国各地にある約300の公証役場に約500人の公証人が配置されていますので、公証事務についてお知りになりたい方は、最寄りの公証役場にご相談ください。

 日公連は、公証役場の利用者の利便性、公証事務の合理化等を実現するために、これまでにも様々な公証事務の改善を行ってまいりましたが、本年度は、主として以下のテーマに取り組むこととしております。

 第1点は、公正証書のデジタル化の開始です。

 我が国社会のデジタル化を推進する政府の方針を受け、これまで紙で作成してきた公正証書に関する一連の手続は原則デジタル化され、公正証書原本は電磁的記録(PDF)で作成されるほか、公証役場に行かなくても、相当と認められる場合には、リモートで公正証書を作成することができるようになります。現時点でその開始時期は確定しておりませんが、日公連は、本年秋以降の実施を目指して準備を進めており、電子公正証書の作成手続を紹介する広報用動画を作成して日公連ホームページに掲載いたしますので、ぜひご覧ください。また、関係者の皆様に手続の概要の説明を行うなどの広報活動を行い、周知を図ることとしておりますので、公正証書のデジタル化について詳しい説明を希望される方は、日公連又はお近くの公証役場にお問い合わせください。

 第2点は、起業家の負担軽減を図ることです。

 株式会社、一般社団、一般財団、特殊法人等を設立するには、公証人による定款の認証が必要とされておりますが、日公連は、これまでにも、定款認証事務について起業家の負担を軽減すべく、電子定款認証制度の導入、Web方式による嘱託人との面談、定款認証・登記同時申請、定款作成支援ツールを利用した定款認証に係る特例措置、定款の48時間特別処理などの施策を実施してまいりました。今後もスタートアップ起業家の利便性確保等の観点から、定款認証業務の改善を続けてまいります。定款認証の嘱託や相談については、お近くの公証役場にお問い合わせください。

 第3点は、高齢者等の支援を目的とした広報活動を行うことです。

 超高齢社会を迎え、ご本人やご家族の将来の安心に備えた資産管理、財産承継等の重要性は高まっております。日公連は、行政機関、士業団体、社会福祉協議会その他組織、団体の皆様方と連携し、任意後見、遺言、家族信託、死後事務委任等の公正証書作成の重要性・必要性について積極的に広報活動を行ってまいります。これらの制度について詳しくお知りになりたい方や公正証書の作成をお考えの方は、是非お近くの公証役場にご相談ください。

 全国の公証人と共に、親切、丁寧をモットーに、その職責を果たしてまいりたいと考えておりますので、引き続き皆様のご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

 

                                          日本公証人連合会会長
                                            萩 原 秀 紀