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公証事務

5-2
保証意思宣明公正証書

Q1. 民法の改正により、事業用融資の保証について、公証人が、保証人になろうとする者(保証予定者)の意思を確認する手続が新設されたそうですが、どのようなものですか?

   これまで、法人や個人事業主等、特に中小企業向けの事業用の融資を受ける場合には、その債務について個人保証を求められることが多く、その事業に関与していない親戚や知人等の第三者が、主債務者に頼まれるなどして安易に保証人となってしまった中には、多額の債務を負い生活の破たんに追い込まれるというようなことがあると指摘されてきました。
   そこで、個人が安易に保証人になることを防止するため、事業用融資の保証契約については、その締結日の前1か月以内に、あらかじめ公証人が保証予定者と直接面談し、主債務の内容や保証人になることの意味、そのリスクを十分に理解しているかを確認して公正証書(保証意思宣明公正証書)を作成しなければ、保証契約の効力を生じないとする規定が新設されました(民法465条の6)。

Q2. 保証意思宣明公正証書を作成する必要があるのは、どのような場合ですか?

   保証意思宣明公正証書の作成が必要となる典型的な事例は、事業のために負担した貸金等債務(金銭の貸渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務)を主たる債務とする保証契約を締結する場合です。その他、主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約を締結する場合や、上記各契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約の場合にも、保証意思宣明公正証書の作成が必要となります。
   なお、上記の保証契約を締結する場合であっても、次のような場合には、保証意思宣明公正証書を作成する必要はありません。

  1. 保証予定者が会社等の法人である場合
  2. 主たる債務者が法人である場合のその法人の理事、取締役等または総株主の議決権の過半数を有する者が保証予定者である場合
  3. 主たる債務者が個人である場合の共同事業者または主たる債務者が行う事業に現に従事しているその配偶者が保証予定者である場合

Q3. 公証人が保証意思宣明公正証書を作成する具体的な手続は、どのようなものですか?

  1.    保証予定者は、公証人に対し、保証意思宣明公正証書の作成を嘱託(依頼)し、保証契約締結日の前1か月以内の日を作成日と決め、事前に保証契約に関する資料を送付するなどした上、作成日時に公証役場に赴きます。
       必ず保証予定者本人が出頭しなければならず、代理人による嘱託はできませんので、ご注意ください。
  2.    保証予定者は、公証人に対し、主たる債務の内容等、法定された事項(民法465条の6第2項1号)を述べる(口授する。)ことによって、保証意思を宣明します。その際、保証予定者が、主債務者や債権者から不当な干渉を受けないようにするため、主債務者や債権者には同席させないようにしています。
  3.    公証人は、保証予定者が、主たる債務の具体的な内容を理解しているか、また、保証契約を締結した場合、主たる債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることなど保証人になることのリスクを理解しているかどうかを確認するなどして、保証意思を確認します(Q4参照)。
       保証意思を確認できない場合、公証人は、保証意思宣明公正証書の作成を拒否することになります。
  4.    公証人は、保証意思のあることが確認され、そのほかに嘱託を拒否すべき事由がない場合には、保証予定者が述べた内容を筆記し、保証意思宣明公正証書を作成します(事前に嘱託人から提出された資料に基づいて用意していた証書案を利用することもあります。)。その後、公証人は、当該証書の内容を保証予定者に読み聞かせ、または自ら読んでいただき(閲覧)、保証意思宣明公正証書の内容を確認してもらいます。
  5.    最後に、保証予定者が、当該証書の内容が正確なことを承認して署名押印し、公証人がその証書に署名押印するという手順で作成します。保証予定者に対しては、その請求により、公証人が原本に基づいてその写しを作成し、その旨の証明文言を付した保証意思宣明公正証書の正本または謄本が交付されます。

Q4. 公証人が保証予定者に確認する保証意思の内容は、どのようなものですか?

  1.    公証人は、保証予定者の口述に基づき、保証しようとしている主たる債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば保証債務を負担することになり、主たる債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解していることなどを確認し、保証予定者が保証契約のリスクを十分に理解した上で、保証契約を締結しようとしているか否かを見極める必要があります。
  2.    そのため、通常の保証契約(根保証契約でない保証契約)の場合は、公証人は、民法第465条の6第2項1号の規定に基づき、次の事項を確認します。
    1. 主たる債務の債権者と債務者
    2. 主たる債務の元本と従たる債務の全額(利息、違約金、損害賠償等)についての定めの有無およびその内容
    3. 主たる債務者がその債務を履行しないときにはその債務の全額について履行する意思を有していること。
         以上のことを保証予定者に口述してもらい、保証予定者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認します。
         なお、リスクの確認に当たっては、主たる債務者の財産状況についての認識、債務の返済計画についての認識の有無等が重要となります。
         また、根保証契約の場合は、公証人は、上記①のほかに、②主たる債務の範囲、極度額、元本確定期日の定めの有無およびその内容、③主たる債務者がその債務を履行しないときには極度額の限度において元本確定までに生じる主たる債務の元本および従たる債務の全額(利息、違約金、損害賠償等)について履行する意思を有していることを、保証予定者に口述してもらい、保証予定者が、①と②の事項を十分に理解し、その上で③の意思を有していることを確認します。
         さらに、公証人は、保証予定者が、保証債務を履行できなかった場合の様々な不利益(保証債務を履行しなかった場合には、所有する不動産や給与が差し押さえられることがあること等)を具体的に理解していることについても確認します。
         なお、連帯保証契約の場合には、債権者が主たる債務者に対して催告したかどうか、他に保証人がいるかどうかにかかわらず、請求される場合があるので、その全額について履行する意思を有していることについても確認します。
  3.    以上に加え、公証人は、保証予定者が、主たる債務者が支払能力を有しているかどうかについて、その財産および収支の状況等に関する情報提供を受けているかどうかも確認します(Q6参照)。

Q5. 保証予定者は、公証人に口述する事項を記載した書面の提出を求められますか?

   保証予定者は、保証意思宣明公正証書の作成前に、主たる債務に関する金銭消費貸借契約書や保証契約書等、公証人から指示された資料を提出する必要がありますが(Q3参照)、その一つとして、保証意思宣明書を提出していただくことになります。
   保証意思宣明書は、保証予定者が公証人に対して口述しなければならない事項(Q4参照)をまとめて一覧的に記載したもので、保証予定者がこれを作成することにより、公証人から確認を受ける事柄をあらかじめ整理し理解しておくことができます。また、公証人にとっても、保証予定者が内容を理解しているかどうかを明確にするための資料となります。
   ただし、保証予定者は、公証役場で、公証人に対し、必要な事項をあくまでも口頭で述べなければならないので(Q4参照)、保証意思宣明書を提出しても、公証人に対する口頭手続が省略されることはありません。この点ご留意ください。
   なお、保証意思宣明書の書式(フォーム)を本ホームページに掲載しておりますので、ご活用ください。

Q6. 事業のために負担する債務について個人に保証を委託する場合には、主たる債務者が保証予定者に対して財産状況等の情報を提供する義務を負うことになったそうですが、どのようなものですか?

   今回の民法改正では、主たる債務者に対し、保証契約締結時における主たる債務者の財産状況等の情報を保証予定者に提供する義務を課し、保証人となろうとする者が、その主たる債務を保証することのリスクを把握させた上で、保証人になるかどうかを慎重かつ適切に決定させることにしました。
   具体的には、主たる債務者は、保証予定者に対し、次の情報を提供する必要があります。

  1. 財産および収支の状況(主債務者が一般的な企業である場合には、「貸借対照表」、「損益計算書」など、また、主債務者が個人事業主である場合には、確定申告書や確定申告の際の財産債務調書等)
  2.    主たる債務以外の債務の有無、その額と履行状況
  3.    不動産等、主たる債務の担保としてほかに提供するものがあるときはその旨、およびその内容に関する情報
       そして、主たる債務者がこれらの情報を正しく提供しなかったために保証予定者が事実を誤認し、債権者もそれを知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができることになりました。

Q7. 保証意思宣明公正証書の作成手数料は、いくらですか?

   保証意思宣明公正証書の作成手数料は、保証債務の金額には関係なく、保証契約の件数1件につき、原則として1万1000円となります。したがって、二つの保証契約について保証意思宣明公正証書を作成する場合には、手数料は2万2000円となります。

【保証意思宣明書】の書式は下記よりダウンロードできます。

【通常保証用】

【根保証用】

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