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お知らせ

さいはての離島(利尻島・礼文島)における広報活動(1)

平成29年9月 名寄公証役場

1離島における広報活動に至る経緯

⑴本年度、広報活動重点地域2年目指定に手を挙げた日本最北の公証役場”“名寄公証役場の公証人”としては、旭川地方法務局管内にある離島(平成28年制定の「離島振興法」により、生活環境等の地域格差の是正含め、住民の利益の増進を図ること等は国の責務)を念頭に、法サービスの改善や司法過疎対策の対象外である利尻・礼文に的に絞った広報の実施をめざし、スムーズな周知活動の流れも考慮し、旭川地方法務局が毎年利尻・礼文島で実施する「巡回登記所」の開設日程に併せ、「公証相談会・講演会」の開催を計画し、北海道公証人会及び旭川公証人会の積極的な参画を得て実施に至った。
日本最北の離島礼文島は、人口約2600人、礼文島から約20㎞南方にある日本百名山の一つ標高1721mの利尻山(別名「利尻富士」)がそびえる利尻島には利尻富士町と利尻町合わせて合計約4700人が暮らしている。


⑵事前準備
平成29年度における離島の広報活動については、年4回を計画し、うち2回は既報告で、今回(9月26日(礼文島)~9月27日(利尻島)) は3回目に当たり、名寄公証役場の公証人が派遣された。  相談会開催広報については、北海道公証人会において「北海道公証人会・名寄公証役場からのお知らせ」と題するチラシ(既報告済)を作成し、これを礼文町及び利尻富士町並びに利尻町3町の全面的協力を得て、地域住民の全戸にこれを配布、事前広報を実施した。
また、利尻空港から丘珠空港(札幌市)と新千歳空港(千歳市)に航空便が就航しており、2時間ほどで札幌市内の公証役場(札幌法務局管轄)に至ることも可能である。
しかし、両島とも冬期間は、笑い話に「島民が冬眠する」と言われるほど、フェリーと航空便の便数が極端に減り、交通の便は極めて悪くなる。

 

2広報活動の状況

⑴礼文島における広報の状況(9月26日火曜日:快晴)
 相談会を実施するに先立ち、礼文町理事者と意見交換の後、午前9時から午後3時まで礼文町役場の第1会議室において、相談会を実施した。
事前に、名寄公証役場には2週間前から予約が入り、内容は遺産相続に関する相談2件があり期待感を抱かせた。また、1週間前、町役場町民課から相談会終了後、フェリー出航時までの間の10~20分でもよいので講話が可能であれば、町の民生・児童委員の定例会を当日に設定するとの依頼があり、即承諾した。
相談会については、町役場の入口と相談会会場前に案内板が設置されており、相談場所は6月、7月と同一であった。
結果、午前中相談2件、午後相談1件で、内1件は予約外で、不在地主が絡む相続関係であったが、他の2件は名寄公証役場作成のチラシ「遺言のすすめ」によって必要書類を説明し、書類の収集・事前送付を依頼し、次回11月に証人2名とともに遺言公正証書作成の予約を受けた。
このことは、観光客減少時期の3~4回目の時期は公正証書の作成も見込まれるとした予想にたがわぬものであった。
しかし、開催に絡む事象として、午前中1組の相談者は、廊下ですれ違った町役場職員に相談場所を尋ねたが、わからないと言われ、当職に同行した公証役場書記の案内がなければ帰るところだったと、汗を拭き拭き話され、町役場あげての広報周知体制の構築の困難さも実感した
また、午後からの相談者は、遺言予定者と受遺者2名の相談ではあったが、漁師の遺言予定者は、午後からのウニ漁がたまたま中止となったので相談に来ることができたと話し、強運にも恵まれたが、ちなみに、11月には漁の予定がないことは確認した。

相談会は無事終え、午後3時30分からは大会議室に場所を移し、礼文町民生児童委員協議会定例会が開催され、冒頭、研究会名目で「相続と遺言」を題目として30分ではあったが講話を行い、相続と遺言の概要と相談開設時の有用性を話し、駅(フェリーターミナルは香深駅)へは町役場庁用車で送迎、午後4時25分発フェリーで利尻島に向かうこととなった。
蛇足ながら、礼文での昼食は、役場から徒歩3分の香深漁協直営の焼き魚処でホッケ開き定食をいただき、シンプルながら大きく脂ののったホッケにホッケの皮やさらに中骨まで炭火であぶって味わい、日本最北の旬の味覚を満喫した。

 

⑵利尻島における広報の状況(9月27日水曜日:強い風雨)
相談会を実施するに先立ち、利尻富士町理事者に今後の協力方を要請して、午前9時から午後3時までの間、利尻富士町役場の庁議室において、相談会を実施した。
利尻富士町は、相談会前の9月中旬に離島することとなった住民から、証人はお世話になった島の住民でとの嘱託があり、やむなく2週間前に出張していたこともあり、他に事前予約はなかった。町役場担当者からは広報誌及び相談会当日9時から防災無線を通して広報をしていますと聞き、相談会当日は、横殴りの強い風・雨のため、漁師の多い島としては相談もありかと待ち構えていたものの、相談者は皆無で、相談者席に座ったのは、町役場担当者、管区法務局視察者、地元司法書士の3組であった。

 

 利尻富士町役場においても、案内板が表示されてはいたが、悪天候が災いして、午前中は町役場内は電話の呼び出し音も響かず、来庁者もほとんどない状態であった。同時開催の巡回登記相談(別階層)には予約なしの相談者があり、かつお年寄りが財産の整理をしたいとして登記権利書を持参していたことを聞き、密なる連携を図ることにより、地域住民の利便にもつながると法務局担当者に対しても相互連携をお願いした。

 

 

3今後の課題

⑴公証制度周知と理解のため継続と開催時期の再検討
⑵町役場福祉担当者及び各種高齢者福祉施設への広報