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公証事務

Q2. 公正証書には、どのようなものがありますか?

   公正証書には、法律行為に関する公正証書(契約や遺言等)と、私権に関する事実についての公正証書(知的財産権の管理や貸金庫の開扉、尊厳死宣言等)がありますが、具体的には、次のようなものです。

(1) 法律行為に関するもの

  1.    当事者間の契約に関する公正証書
       土地や建物の売買、賃貸借、金銭消費貸借等の契約に関する公正証書が一般的ですが、それ以外にも、機械器具のリース契約等、法令や公序良俗に反するなどの無効原因がなく、行為能力の制限による取消しの対象とならない限り、どのような内容の契約でも、公正証書を作成することができます。
  2.    嘱託人による単独行為に関する公正証書
       当事者間の合意を契約として公正証書にするだけでなく、嘱託人一人の意思表示の内容を文書で明らかにする単独行為に関する公正証書の作成も行われています。
       遺言は、その典型であり、遺言者による単独の法律行為です。具体的には、遺言者が自分の死後に、その財産を誰にどのような割合で残すのかを決めたり、自分を虐待するなどした相続人を廃除したり、婚外子を認知したり、先祖のお墓を誰に守ってもらうかを定めたりします。遺言公正証書は、遺言者の話した遺言の内容を公証人が聞き取り、その内容を公正証書にまとめて作成します。聴覚や言語機能に障害のある方でも、公正証書遺言をすることができます。
       そのほか、単独行為に関する公正証書には、保証意思宣明公正証書等があります。

(2) 私権に関する事実についての公正証書(事実実験公正証書)

   公証人が、自ら実験、すなわち五官の作用で認識した結果を記述する公正証書を事実実験公正証書といいます。事実実験の結果を記載した「事実実験公正証書」は、証拠を保全する機能を有し、権利に関係のある多種多様な事実を対象とします。
   例えば、特許権者の嘱託により、特許権の侵害されている状況を記録した事実実験公正証書を作成する場合や、相続人から嘱託を受け、相続財産把握のため被相続人名義の銀行の貸金庫を開披し、その内容物を点検・確認する事実実験公正証書を作成する場合があります。
   事実実験公正証書は、その原本が公証役場に保存される上、公務員である公証人によって作成された公文書として、高度の証明力を有します。
   そのほか、人の意思表示や供述の内容もこの証書で証拠化することができます。例えば、いわゆる尊厳死の意思表示をこの事実実験公正証書に記載しておくことが可能です。将来の紛争を防止するという目的のために、非常に活用範囲の広い公正証書です。