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公証事務

Q2.公正証書遺言には、どのようなメリットがありますか?

   公正証書遺言には、次のように、多くのメリットがあります。

  1.    安全確実な遺言方法
       公証人は、多年、裁判官、検察官または弁護士の経験を有する法曹資格者や、多年、法律事務に携わり、法曹資格者に準ずる学識経験を有する者です。いずれも正確な法律知識と豊富な実務経験を有しています。複雑な内容であっても、法律的に見てきちんと整理した内容の遺言書を作成しますし、言うまでもなく、方式の不備で遺言が無効になるおそれもありません。公正証書遺言は、自筆証書遺言と比べて、安全確実な遺言方法であるといえます。
  2.    遺言者の自書が不要
       自筆証書遺言は、財産目録以外は全文を自ら手書きしなければならないので、体力が弱り、あるいは病気等のために、手書きが困難となった場合には、自筆証書遺言をすることはできません。他方、このような場合でも、公証人に依頼すれば、遺言をすることができます。
       また、公正証書遺言では、遺言者が病気等のために電子サインができない場合でも、公証人が、遺言公正証書にその旨を記録又は記載することによって、公正証書を作成できることが法務省令で認められています。
  3.    公証人の出張が可能
       遺言公正証書は、役場以外でも作成することが認められています。例えば、遺言者が高齢で体力が弱り、あるいは病気等のために、公証役場に出向くことが困難な場合などには、公証人が、遺言者のご自宅や老人ホーム、介護施設、病院等に出張して、遺言公正証書を作成することが行われています。なお、離島等で公証役場へのアクセスが困難であったり、感染症予防の観点から公証人等の出張が困難であるなどの事情があり、かつ、遺言者が所在する場所の状況や遺言の内容その他の様々な事情から、遺言者が本人であることの確認や、本人にその遺言をする意思があることの確認に支障がないものとして、公証人が相当と認めた場合には、遺言者が公証役場に行かずに、ウェブ会議で公証人と面談する方法で公正証書を作成することも可能です。
  4.    遺言書の検認手続が不要
       公正証書遺言は、家庭裁判所での検認手続を経る必要がないので、相続の開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。
  5.    遺言書原本の役場保管
       遺言公正証書は、原本が必ず公証役場(電磁的記録で作成された原本の場合は、公証人の団体である日本公証人連合会が運営するシステム)に保管されるので、紛失のおそれはなく、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりするおそれも全くありません。
  6.    遺言書原本のバックアップシステムの存在
       日本公証人連合会では、震災等により、遺言公正証書の原本、正本および謄本が全て滅失した場合でも、その復元ができるようにするため、平成26年以降に作成された全国の遺言公正証書の原本については、これらの電磁的記録(遺言証書PDF)を作成して、二重に保存しています。令和7年に、公正証書が電子化された後は、これらの電磁的記録及び新たに作成された公正証書の原本を日本公証人連合会が運営するシステムで保存しますが、このシステムには、災害等に備えるためバックアップシステムが構築されているので、記録保管の点からも安心です。
  7.    遺言の効力発生後の相続人等による遺言検索が可能
       平成元年以降に作成された遺言公正証書については、遺言の効力発生後、相続人等の利害関係人は、全国の公証役場において、被相続人が公正証書遺言をしたかどうか等を問い合わせることができます。