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公証事務

Q12. 譲渡制限株式(全株式及び種類株式)の相続人等に対する売渡請求権の定めはどうなっていますか。

  1. 株式の譲渡制限制度は、当該株式が他人に譲渡される場合には、会社の承認を要することとし、会社にとって好ましくない者が当該株式の株主とならないようにするための制度です。
    会社法は、これを押し進めて、定款にその定めをすることによって、相続その他の一般承継により会社にとって好ましくない者が会社の株式を取得した場合に、当該株式を会社に売り渡すことを請求できることとしました(会174条)。この売渡請求は、会社が相続などの一般承継を知った日から1年以内に、その都度株主総会の特別決議によって、(a)請求をする株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)及び(b)その所有者の氏名又は名称を定めたうえ、その取得者に対して(a)を明らかにして請求しなければなりません。会社はいつでもこの請求を撤回することができます(会175条、176条、309条2項3号)。
  2. 売買価格は、会社と譲渡制限株式の一般承継者との協議により定めます。ただし、両者はいずれも売渡請求の日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができ、裁判所は、会社の資産状態その他一切の事情を考慮して売買価格を決定します。20日以内に裁判所に対する申立てがなされない場合は、その期間内に協議が調った場合を除き、売渡請求は失効します(会176条、177条)。